麻布中学校の理科では見慣れない実験や説明に出会っても、本文と図表から使える情報を拾う練習が大切です。「知らない題材だから解けない」と決めず、すでに知っていることと、その場で与えられたことを分けてみましょう。
2026年度の題材と読み取りの焦点
| 分野 | 題材 | 確認したい作業 |
|---|---|---|
| 生物 | ヒナの行動を調べる実験 | 条件の異なる実験結果を対応させる |
| 化学 | 冷却と融雪剤 | 表の数値と実験条件から考える |
| 地学 | 地球の歴史・気候・生物の分布 | 時間の尺度と複数の図を読み取る |
| 物理 | 自転車の動きを表すモデル | 本文で定義された矢印を使う |
題材を先に知っていたかだけで勝負が決まるわけではありません。初めての説明が出たときに、何を表す図なのか、どの条件を比べるのかを整理する力が必要です。反面、単位や基本用語で止まると資料の読み取りまで進めません。基礎の復習と初見の資料を読む練習を組み合わせます。
実験結果を読む練習
次の表は読み取り練習用に作った架空のデータです。実測値や麻布の出題データではありません。同じ容器に同じ量の水を入れ、置く場所を変えて10分後の温度を比べたとします。
| 条件 | 開始時 | 10分後 | 上昇した温度 |
|---|---|---|---|
| A:日なた | 20℃ | 28℃ | 8℃ |
| B:日かげ | 20℃ | 22℃ | 2℃ |
表から言えること
この実験ではAの水温の上昇がBより6℃大きい。
この表だけでは決められないこと
どの日も必ず同じ温度差になることや、20分後にも同じペースで上昇すること。
「AはBの4倍」と書く場合も、何が4倍なのかが必要です。上昇した温度は8÷2=4倍ですが、10分後の水温が4倍なのではありません。グラフや表では、値そのものと変化量を混同しないようにします。
比較する実験を選ぶ手順
- 調べたい条件を一つ決める場所・容器・水の量のどれを比べるのか確認する。
- ほかの条件が同じ組を探す開始温度や測定時間も確認する。
- 結果の差を説明するどの組のどの値を比べたかを答案に残す。
問題文が長いと、前の実験と後の実験で同じ記号が違う条件に使われる場合もあります。記号だけを覚えず「A=日なた・同じ容器」のように内容と組にして確認します。表を作り直すときも全数値を写す必要はなく、設問で使う条件を抜き出します。
作図の間違いは意味から直す
矢印のある図は、向きだけでなく始点や長さにも意味があります。問題文で長さが何を表すと定義されているかを先に確認してください。見た目が似ている図を写すだけでは、別の条件になったときに対応できません。
グラフを描くなら軸の名前・単位・目盛り・必要な点を順に確認します。点を結ぶかどうかも問題の指示に従います。直し終わったら図を指しながら「この部分は何を表しているか」を説明すると、読み違いと描き方の誤りを区別できます。
基礎知識とその場で読む力を両方育てる
2026年度の問題には、動物の行動を調べる実験や、冷却に関する実験、図を使った運動の説明などが見られました。題材は違っても、説明された条件を理解し、図表や結果に結びつける作業が必要です。
これは「暗記はいらない」という意味ではありません。用語や基本的な現象の理解が曖昧だと、長い説明文を読む負担が増えます。塾の教材で基礎を確認する時間と、初めての資料を読み解く時間を分けて確保してください。
長いリード文を読むときの手順
- 何を調べているかをつかむ。実験の目的や、説明しようとしている現象を短くまとめます。
- 新しい言葉の定義を拾う。本文で与えられた意味を日常の意味と混同しないようにします。
- 条件と結果を対応させる。どの操作で何が変わったかを図や表の番号と結びつけます。
- 設問に必要な箇所へ戻る。本文をすべて暗記しようとせず、使う情報を探し直します。
線を引く量が多くなりすぎる場合は、目的、条件、結果のどれに当たるかを考えます。全部に線を引くより、後から必要な箇所を見つけられる印にしましょう。
実験では「変えた条件」を先に確認する
二つの結果を比べる前に、何を変え、何をそろえているかを確認します。複数の条件が同時に違えば、どの条件が結果の違いに関わったかを言い切れない場合があります。
グラフ・表・作図で確認すること
- グラフ:縦軸・横軸の意味、単位、目盛りを確認します。線の形だけで判断しません。
- 表:行と列の条件を確かめ、必要な値を選びます。増えた量と、もとの値に対する割合は区別します。
- 作図:何を表す図かを確認し、矢印の向き、起点、必要なラベルなどを見直します。
作図問題を「図が苦手」で済ませず、指示の読み違いと表し方の誤りに分けてください。正しい図を写した後は、説明を見ずに再び描き、図の意味を言葉でも説明してみます。
理由を書くときは結果と仕組みをつなぐ
「温度が下がったから」のように結果を繰り返すだけでなく、本文にある条件や仕組みを使って理由を説明します。何が変化し、それがどう結果につながったかを順に書きます。
一方で、資料から分からないことを付け足さないようにします。「この結果から言えること」と「考えられるが、この結果だけでは確かめられないこと」を分ける練習も有効です。
解き直しは知らなかった知識だけを覚えて終わらない
誤答した箇所を知識不足、定義の読み違い、条件の取り違え、図表の読み違い、説明不足に分けます。知識不足なら基礎教材に戻り、条件の取り違えなら本文と図表の対応を作り直します。
初見の題材そのものを暗記しても、次の題材で同じ読み取りができるとは限りません。復習では「どの情報を使えばよかったか」を言葉にし、別の問題でも確認する習慣をつけましょう。
よくある質問
高度な科学の知識を先取りすべきですか?
まず、問題文で説明されている内容を読んで使えるかを確かめます。先取りを増やす前に、基礎知識と資料読解のどちらに課題があるかを見ましょう。
長文を読むのが遅いときは?
語句で止まるのか、条件を覚え直しているのか、図表を探しているのかを確認します。単に速読を目指すより、止まる原因に合わせて練習を選びます。
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