麻布中学校の国語で記述を直すときは、模範解答と同じ言葉を探す前に、問いと本文の根拠を確認します。「悲しい」「うれしい」だけで終わる答案も、そう感じた出来事と受け止め方を加えると、説明すべき内容が見えてきます。
2026年度の物語文で必要だった読み方
2026年度は現在の出来事と過去の出来事を重ねて読む構成でした。時間が切り替わる文章では、読者が知っている情報と登場人物がその場面で知っている情報を分ける必要があります。後で分かる事情を、前の場面の人物も知っていたことにすると心情の説明がずれます。
| 読む場面 | 残すメモ | 答案で起きやすいずれ |
|---|---|---|
| 出来事の前 | 人物が期待・心配していたこと | 結末を知った後の気持ちを混ぜる |
| きっかけ | 発言・行動・新しく知った事実 | 出来事だけを書いて意味を説明しない |
| 出来事の後 | 相手や自分への見方の変化 | 「成長した」など抽象語だけにする |
人物全員について長いメモを作る必要はありません。設問に関わる人物と場面に絞り、最初と最後の見方がどう違うかを確認します。本文全体を問う記述では、その変化を説明するために必要な出来事を選びます。
短い答案をどう書き直すか
次は麻布NEXTによる自作の練習場面です。約束の時間になっても友人が来ず、主人公は昨日の口論を気にしていました。そこへ息を切らした友人が現れ、一緒に出かけようと声をかけます。
説明が足りない答案
友人が来たのでうれしかった。
背景を加えた答案
昨日の口論で友人が自分を避けているのではないかと心配していたが、約束どおり来てくれたことで関係が続いていると感じ、安心した。
書き直しで加えたのは難しい感情語ではありません。「何を心配していたか」と「来てくれたことをどう受け止めたか」です。本文にある事情をつなぐことで、なぜ安心したのかが伝わります。
反対に「友人はずっと主人公を大切に思っていた」まで付け足すと、この短い場面だけでは言い切れません。読む側が自然に思いつく想像と、本文を根拠に説明できる内容を分けてください。
字数を整えるときの削る順序
- 同じ意味の文をまとめる「悲しく、つらく、苦しかった」のような重なりを確認する。
- 設問に不要な出来事を外す心情の理由に関わらないあらすじを削る。
- 主語と因果関係を残す誰が何を受け止めたかは省略しすぎない。
字数を先に埋めようとすると、言い換えを重ねるだけの答案になりがちです。まず必要な材料をそろえてから文章にします。字数指定がない問題も、解答欄の大きさだけで内容を決めず、設問の要求を満たしているかを見ましょう。
家庭で添削を振り返る15分の使い方
練習の一例として、最初の5分で設問と根拠を確認し、次の5分で答案を書き直し、最後の5分で元の答案と比べます。一度に全問を直すより、同じ種類の誤りが出た1問を選ぶと変化を確認しやすくなります。
保護者は答えの言葉を先に教えるより、「その気持ちはどこから分かる?」「この『自分』は誰?」と聞いてください。子どもが本文の場所を示せたら、その言葉と答案のつながりを確かめます。本文を示せないときは書き方だけでなく読み取りに戻ります。
物語の筋と人物の気持ちを分けて読む
2026年度の国語は、現在と過去の出来事が重なる物語文でした。人物が何を知っているか、どの出来事を受けて考えが変わったかを追う必要があります。物語のあらすじだけを覚えても、個々の記述には十分に答えられません。
初めに人物関係と出来事の順序を整理します。そのうえで、設問の場面に戻り、発言や行動の理由を考えます。受験する年度の文章を予想するより、初めての物語にも使える読み方を練習しましょう。
心情記述は3つのメモから組み立てる
- 出来事:何が起きたか。誰のどの言動がきっかけか。
- 受け止め方:本人にとって、なぜその出来事が大切なのか。
- 気持ち:安心、期待、戸惑いなど、どんな思いにつながったか。
この順序は考えを整理するための補助です。どの設問にも同じ型を無理に当てはめる必要はありません。「理由」を聞かれたのか、「どのような気持ち」を聞かれたのかを先に確かめます。
本文全体を踏まえる記述では変化を追う
一つの場面だけでは答えがまとまらない場合は、人物の最初の考え、変化のきっかけ、最後の受け止め方を並べます。最後の段落を言い換えるだけでなく、そこに至るまでの出来事を確認してください。
ただし、本文のあらすじをすべて書くと問いから離れます。設問に必要な出来事だけを選び、それが人物の変化とどう関わるかを説明します。指定の字数や解答欄に合わせるのは、必要な内容を整理した後です。
家庭で答案を確認する4つの観点
- 問いに答えているか:理由を聞かれているのに、出来事の紹介だけで終わっていないか。
- 根拠があるか:その気持ちを読み取れる本文の箇所を示せるか。
- 人物が明確か:「自分」「相手」などの言葉が誰を指すか分かるか。
- 必要な説明があるか:気持ちの言葉だけになっていないか。逆に、不要なあらすじが長くないか。
表現が模範解答と異なるだけで、すぐに不正解にしないでください。一方で、同じ語句が入っていても、因果関係が逆なら確認が必要です。判断に迷った答案は、設問と根拠の箇所を添えて講師に相談しましょう。
添削を受けた後にすること
赤字を読んで終わらず、「足りなかった内容」「根拠がなかった内容」「問いから外れた内容」を分けます。まず一つの設問を選び、解説を閉じて書き直します。元の答案も残し、どの説明が増えたかを比較してください。
同じ文章を覚えて書けるようになったら、別の文章でも同じ確認ができるかを試します。練習の目的は、模範解答の暗記ではなく、自分で根拠を探し、必要な内容を選べるようになることです。
よくある質問
読書量を増やせば記述も伸びますか?
読書は文章に親しむ機会になりますが、設問に答える練習も必要です。読んだ感想と、本文を根拠にした答案は役割が違います。学習時間の中に短い記述とその見直しを入れましょう。
感情を表す語をたくさん覚えるべきですか?
語彙は役立ちます。ただし難しい言葉に置き換えることが目的ではありません。どの出来事をどう受け止めたかを説明したうえで、合う言葉を選びます。
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